介護士の仕事現場といえば、介護士特別養護老人ホームや介護老人福祉施設などが思いつくかもしれませんが、実は利用者の自宅を訪れる機会も意外と多いのです。この仕事には訪問介護やホームヘルプといった名称がついていて、その内容は大きく分けて身体介助と生活援助に分類されます。訪問介護における身体介助は入浴や排泄の手助けを行うイメージが強いですが、利用者の定期的な通院日には介護士も介護タクシーに同乗することがあります。そして、利用者の乗車や降車を介助するだけでなく、病院の受付で受診手続きを行うこともあるのです。生活援助では調理や掃除などの家事全般を担いますが、利用者が自分で調理できる場合は介護士がスーパーへ買い出しに行って食材の準備のみを担います。また、たとえ訪問介護で時間に余裕ができたとしても、介護士が利用者の家族だけに関わる家事を行うことはできません。
自宅療養している利用者の中には、のどの筋力が低下し自分でたんを吐き出すことができない人もいます。そのため、訪問介護ではたんの吸引が必要になるのですが、この行為は医療従事者だけに認められているものではありません。喀痰吸引等研修を受講したうえで認定特定行為業務従事者認定証を有すれば、介護士もたんの吸引を行うことができるのです。ただし、利用者の担当医からの指示を事前に受けておく必要があります。医療と介護の業界では様々な法改正が実施され、それに伴い訪問介護における介護士の仕事の範囲も少しずつ広がっているのです。